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イベントレポート

 熊野古道センターにてこれまで開催してきた各種イベントの様子をご紹介します。

平成27年8月8日(土)「熊野古道センター映画祭」を開催しました!!

2015年08月08日

 70年前のこの日の長崎を舞台として製作された映画『TOMORROW 明日』の上映会と座談会を開催しました。
 当センターでは、近隣に映画館がない東紀州地域の方々に、スクリーンで映画を楽しんでいただきたいと考え、三重県視聴覚ライブラリーが所蔵する映画を利用し、今年度は2回の上映会を開催しますが、その第1回となる今回の映画『TOMORROW 明日』は、黒木和雄監督戦争レクイエム3部作の第1作目となった作品です。原作は井上光晴の『明日』で、「昭和20年8月9日午前11時02分」までの長崎を舞台に、爆心地から半径2キロ以内の市井の人々の24時間を描いた作品です。
 この映画祭では、映画を観るだけでなく、作品の見どころや時代背景、監督のメッセージ、また作品から私たちが感じることなど、作品を通して参加者のみなさまと気楽に話し合える場を設けたいという目的から、三重映画フェスティバル実行委員会にご協力いただき、上映前には作品の解説をおこない、上映後には座談会を開催しました。
解説・田中さん 上映前には実行委員会の田中忍さんから、黒木和雄監督が実は三重県松阪市で生まれたことや、この作品が小津安二郎監督へのオマージュであること、8月9日に原爆が投下されるということがわかっているからこそ、映画の後半に近づくにつれ、胸が締め付けられること等、監督の戦争体験や戦争に対する考えについて触れながら、お話いただきました。また、昨年尾鷲にも来ていただいた三重県に縁のある三池崇史監督がこの作品で助監督をされていることにも言及され、最後に流れるクレジットに注目してほしいということでした。
座談会の様子 上映後の座談会では、藤田明さん(三重映画フェスティバル実行委員会)、吉村英夫さん(映画評論家)にご登壇いただき、当センターの川端守センター長が司会を務め、お二人にお話を伺いました。
 当時12歳だった藤田さんは学童疎開した宮城県で半年間過ごし、その後三重県津市へ疎開して来られました。その数日後、空襲にあいましたが、押入れに避難して助かりました。この時、防空壕へ逃げていたなら命を落としていただろうと語られました。防空壕へ逃げた人のほとんどが生き埋めになってしまったからです。また、当時の思い出として、東京から夜行列車に乗ってはじめて三重県を訪れ、車窓から静かな田舎の風景を見たとき、まるで戦争とは無縁な所のように感じ、同じ日本でこんなにも違うものなのかと驚いたことをお話いただきました。
 吉村さんには作品と黒木監督についてお話いただきました。この映画では戦争や戦闘シーンは一切なく、ごく普通の家族と彼らを取り囲む人々の日常を淡々と描いていますが、はじめて作品を観た時は、なんて退屈な映画だろうと思ったそうです。しかし、退屈な日常こそが人間にとっての幸せであると気付かされます。昨日があって今日がある。今日があって明日がある。明日があってその先の未来がある。そうして日常が続いていく。しかし、今日があって明日がないのがこの映画です。
 当たり前に来るはずの明日が、7万4千人の日常が一瞬にして奪われてしまう。戦争の悲惨さを映像で表さなくても、当たり前の幸せが奪われることの恐ろしさを訴える作品です。この作品は後に海外でも評価されるようになりますが、日本と同じように海外においても家族の崩壊について深刻な問題となっているのかもしれません。3世代が一緒に暮らすという昔では当たり前の暮らしが、現代ではみられなくなってしまいました。まさに黒木監督は27年前に今の日本の家族のかたちを予見していたのです。人間にとっての幸せについて深く考えることができた貴重な時間でした。
 また、監督は原水爆反対を生涯訴え続けた一人です。敗戦の年、当時中学生だった監督は、動員先の軍需工場で米軍機の爆撃を受け、11人の友人をほとんど即死状態で亡くしました。そのとき、友人を見捨て、無我夢中で防空壕に逃げ込んだことが生涯のトラウマとなり、それが映画のもとになっていると語っています。また、「反戦・平和」を唱えなくても、人間の日常生活を取り上げて深く切り込むことで結果的に「反戦」になるとも言っています。今回の作品でも、ごく日常の生活が描かれています。最後に原爆が爆裂する瞬間に一瞬映し出される長崎の街は、撮影当時の長崎の街の映像です。原水爆の使用が過去のものではなく、現在形であることを込めた一瞬です。
 静かな反戦思想を込めた監督の作品『TOMORROW 明日』『美しい夏キリシマ』『父と暮せば』は戦争レクイエム3部作として広く知られていますが、監督の遺作『紙屋悦子の青春』も太平洋戦争末期の鹿児島を舞台として描かれています。現在、戦後70年特別企画として、東京・大阪でこの4作品を連日上映しています。
岩波ホールにて、8月1日から21日まで
http://www.iwanami-hall.com/contents/special/about.html
大坂シネヌーヴォにて、8月15日から28日まで
http://www.cinenouveau.com/sakuhin/kuroki/kuroki.html
 ぜひ、この機会に黒木和雄監督「戦争レクイエム4部作」をご覧ください。戦争の悲惨さ、平和の大切さ、平和とは何かについて考えてみませんか。戦後80年を迎えることができることを願って…。

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