トップページ >> イベント情報 >> イベントレポート >> 平成28年1月16日(土)「熊野古道センター映画祭」を開催しました!!

イベントレポート

 熊野古道センターにてこれまで開催してきた各種イベントの様子をご紹介します。

平成28年1月16日(土)「熊野古道センター映画祭」を開催しました!!

2016年01月16日

第三の男 第2次世界大戦直後のウィーンを舞台に製作された映画『第三の男』の上映会と座談会を開催しました。
 当センターでは、近隣に映画館がない東紀州地域の方々に、スクリーンで映画を楽しんでいただきたいと考え、三重県視聴覚ライブラリーが所蔵する映画を利用し、今年度は2回の上映会を開催しました。第1回は、昨年8月8日に『TOMORROW 明日』を上映しました。
 この映画祭では、映画を観るだけでなく、作品の見どころや時代背景、監督のメッセージ、また作品から私たちが感じることなど、作品を通して参加者のみなさまと気楽に話し合える場を設けたいという目的から、三重映画フェスティバル実行委員会にご協力いただき、上映前には作品の解説をおこない、上映後には座談会を開催しました。
 今回ご紹介した作品は1949年製作のイギリス映画『第三の男』です。1949年にカンヌ国際映画祭グランプリ、1950年にアカデミー賞撮影賞を受賞したキャロル・リード監督の名作です。戦争で破壊され荒廃したウィーンの姿が、光と影のコントラストによって美しく、怪しく映し出されています。
 上映前には実行委員会の田中忍さんから、原作本の翻訳をおこなった小津次郎は、実は小津安二郎監督のまたいとこにあたること、また、原作と小説では内容に若干の違いがあることなど作品の見所についてもお話いただきました。
<作品のあらすじ>
 舞台は第二次世界大戦後、米英仏ソによる四分割統治下にあったオーストリアの首都ウィーン。当時ウィーンの酒場で人々に親しまれたツィターのメロディ(アントン・カラスによるテーマ曲)をBGMに物語の幕が開く。
 アメリカの売れない西部劇作家ホリー・マーチンスは、親友ハリー・ライムから仕事を依頼したいと誘われ、意気揚々とウィーンにやって来た。ライムの家を訪ねるマーチンスだが、門衛はライムが前日、自動車事故で死亡したと彼に告げる。ライムの葬儀に出席するマーチンスは、そこでイギリス軍のキャロウェイ少佐と知り合う。少佐はライムが闇取引をしていた悪人だと告げるが、信じられないマーチンスはライムへの友情から事件の真相究明を決意する。
 事件の関係者を調査すると、ライムの恋人であった女優のアンナ・シュミットと出会う。マーチンスと彼女は二人で事件の目撃者である宿の門衛に話を聞き、現場に未知の〈第三の男〉がいたことをつきとめる。しかし貴重な証言を残した門衛は何者かに殺害され、マーチンスがその下手人だと疑われてしまう。また、国籍を偽っていたアンナもパスポート偽造の罪でソ連のMPに連行されてしまう。
 進退に窮したマーチンスは、アンナの下宿の近くで〈第三の男〉と邂逅する。ハリーがペニシリンの大闇で多数の人々を害した悪漢であることを聞かされていたマーチンスはMPに急報し、アンナの釈放と引きかえに彼の逮捕の助力をするようキャロウェイから要請される。マーチンスはハリーとプラーター公園の観覧車の上で話し合い、改めて彼の凶悪ぶりを悟り、親友を売るもやむを得ずと決意する。釈放されたアンナはマーチンスを烈しく罵る。しかし、病院を視察してハリーの流した害毒を目のあたり見たマーチンスはハリー狩りに参加することを決意、囮となって彼をカフェに待つ。現れたハリーは警戒を知るや下水道に飛込み、ここに地下の拳銃戦が開始され、追いつめられた彼はついにマーチンスの一弾に倒れる。改めてこの〈第三の男〉の埋葬が行われた日、マーチンスは墓地でアンナを待つが、彼女は表情をかたくしたまま一瞥もせず彼の前を歩み去って行く。(ウィキペディアより)
座談会の様子
 上映後の座談会では、当センターの川端守センター長が司会を務め、藤田明さん(三重映画フェスティバル実行委員会)、吉村英夫さん(映画評論家)に御登壇いただき、お話を伺いました。(以下、まとめ)
 舞台は第二次世界大戦後、米英仏ソによる四分割統治下にあったオーストリアの首都ウィーンであるが、当時ウィーンの人々は、戦争の爪痕が残る街を舞台に製作されたこの作品を嫌った。しかし、現在はロケ地を巡る観光客なども増えたので喜んでいる。また、原作者であるグレアム・グリーンは、読んでもらうためにではなく、観てもらうために原作を書いたというところにも注目。作品の前半は短いカットでテンポも速く、アントン・カラスのツィターの演奏に合わせてめまぐるしく展開する。そして、ハリーが登場した場面から物語が断然面白くなる。
 
 ラスト・シーンはセリフのない1分以上のロング・カットで、映画史に残る名場面と評されています。映画史上最も素晴らしいラスト・シーンであると評されており、吉村さんはその理由を次のように語られました。
 数学は、1+1=2であり、それ以外の答えはない。小説は文字と会話から、情景や登場人物の気持ちを想像する。映画はセリフと映像から物語を理解する。では、セリフのないこのラストの1分間を観客はどうみるのか。男性に共感する人は、アンナが振り向けばいいのに、と思いながら観るだろう。女性に共感する人は、よくも私の恋人を、と思いながら。あるいは、それぞれの気持ちを理解し複雑な心情で観る人もいるだろう。映像だけで観る者に物語のラストを想像させる。100人いれば100通りの感想が生まれる。そこが、このラスト・シーンの素晴らしいと言われる所以である。

 まさにその通り。最後の1分間、みなさんはどうみますか。

 今回は、座談会にご参加いただいた方からも様々な感想をお聞きすることができ、あっという間の1時間でした。一部をご紹介します。
「戦争を経験した者にとっては、占領地区で生活する人の気持ちがわかる」「初めて観たが、座談会に参加したことでもう一度観たいと思った」「スクリーンだからこそ集中して観ることができた」「原作も読んでみたい」「映像の美しさに感動した」
 たくさんの感想を聞き、改めてこの作品のすばらしさを理解することができました。
 映画を観るだけでなく、同じ映画を観た人同士で意見を交換することで、また違った作品の楽しみ方を発見することができます。当センターでは、今後もこのような映画を通じた交流の場を設けたいと考えています。ご期待ください。

イベント情報

過去の記事

2017年07月の記事
2017年06月の記事
2017年05月の記事
2017年04月の記事
2017年03月の記事
2017年02月の記事
2016年12月の記事
2016年11月の記事
2016年09月の記事
2016年07月の記事
2016年03月の記事
2016年01月の記事
2015年12月の記事
2015年10月の記事
2015年08月の記事
2015年06月の記事
2015年05月の記事
2015年04月の記事
2015年03月の記事
2015年01月の記事
2014年11月の記事
2014年10月の記事
2014年08月の記事
2014年07月の記事
2014年06月の記事
2014年05月の記事
2014年03月の記事
2014年02月の記事
2014年01月の記事
2013年11月の記事
2013年08月の記事
2013年07月の記事
2013年06月の記事
2013年05月の記事
2013年04月の記事
2013年03月の記事
2013年02月の記事
2012年12月の記事
2012年09月の記事
2012年07月の記事
2012年06月の記事
2012年05月の記事
2012年04月の記事
2012年03月の記事
2012年02月の記事
2012年01月の記事
2011年10月の記事
2011年08月の記事
2011年07月の記事
2011年06月の記事
2011年05月の記事
2011年04月の記事
2011年03月の記事
2011年02月の記事
2010年12月の記事
2010年11月の記事
2010年10月の記事
2010年09月の記事
2010年08月の記事
2010年07月の記事
2010年06月の記事
2010年05月の記事
2010年04月の記事
2010年03月の記事
2010年02月の記事
2010年01月の記事
2009年12月の記事
2009年11月の記事
2009年10月の記事
2009年09月の記事
2009年08月の記事
2009年07月の記事
2009年06月の記事
2009年05月の記事
2009年04月の記事
2009年03月の記事
2009年02月の記事
2009年01月の記事
2008年12月の記事
2008年11月の記事
2008年10月の記事
2008年09月の記事
2008年08月の記事
2008年07月の記事
2008年06月の記事
2008年05月の記事
2008年04月の記事
2008年03月の記事
2008年02月の記事
2008年01月の記事
2007年12月の記事
2007年11月の記事
2007年10月の記事
2007年09月の記事
2007年08月の記事
2007年07月の記事
2007年06月の記事
2007年05月の記事
2007年04月の記事
2007年03月の記事
2007年02月の記事