今月の一品「大日本道中行程細見記大全」

過去の企画展示

開催期間 令和3年6月1日(火)~6月30日(水)
休館期間 午前9時~午後5時
開催場所 展示棟ロビー
入場料 入場無料

 江戸時代中~後期になると、社寺参詣や名所遊覧など庶民の物見遊山が盛んになる。本図はそうした実用本位に編纂された携帯型ガイドマップの一つで、明和7(1770)年に発行されたもので、広げた長さは8m76㎝にもなる。

 地図には蝦夷から琉球までの範囲で描かれ、地名や城下、里程、航路などが記載されている。この他には「鼻息ニテ時ヲ知ル事」「落馬セヌ方」といった旅の注意事項、旅に必要な携行品として「ヤタテ」(携帯用の筆記用具)や護身用の武器「指刀」なども記載されている。出版社は大坂心斎橋の吉文字屋市兵衛および江戸日本橋の吉文字屋次郎兵衛。

 「細見」とは詳しく見ること、「大全」とはその物事に関係することをもれなく記述したもの

を意味する。江戸時代の旅の形態は、一度旅に出たならば、それは一ヶ月から数ヶ月に及ぶものであった。例えば、関東や東北の旅人は、伊勢参宮の後、吉野や高野山、または西国巡礼といった旅のスタイルをとった。 このことから当時の旅行ガイドブックは、広範囲を網羅した地図となった。

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