伊勢ゟ熊野路道中記
2024年7月8日
企画展の見どころ
世界遺産登録20周年記念企画展「熊野古道伊勢路 西国第一の難所 八鬼山越え」では、当センター所蔵の資料も展示しています。今回はその中から、文字が小さくて読みにくいと思われる資料を拡大して紹介します。
「収蔵品に見る八鬼山越え」コーナーの「伊勢ゟ(より)熊野路道中記」という資料です。発行年は不明ですが、江戸時代後期だと思われます。これは大坂の旅籠「かわしや四郎兵衛」が発行した一枚ものの絵図で、伊勢街道などで旅籠の宣伝のために配っていた「引札」の一種であると考えられます。絵図の内容は地名と距離のみの簡単なもので、伊勢から始まる熊野古道伊勢路、第一番札所青岸渡寺から第四番札所施福寺を経て大坂へ至る道筋が描かれます。この中で、熊野古道伊勢路の部分では八鬼山がほんの少し描かれています。
それがこちらです。
「おわせ(尾鷲)」と「三木(三木里)」の間に山らしきものが描かれ、「八鬼山」と書かれています。また、「上り五十丁下り三十八丁」と距離も上り下りに分けて書いています。
よく見てみると八鬼山以外にも峠のようなイラストがいくつか描かれています。八鬼山はその中でもひときわ目立つのではないかなと思います。当時の人々の間では、八鬼山越えは難所であるという認識だったということがわかります。
以上、「伊勢ゟ熊野路道中記」についてでした。ぜひ実際に見てみて、字の細かさを体感してみてください!
y