3Dプリンター
2024年9月16日
いきなり歴史系のブログに割り込む形で全く違う話題を書き込みます。
私が企画展で3Dプリンターを使うようになったのは、企画展「熊野古道 大地のなりたち」からでした。個人的に3Dプリンターを所有していたため何か活用できないかと思ったのがきっかけです。3Dプリンター自体はそれほど高額でもなく、現在のものはセッティングも非常に楽にできるように作られています。しかし、問題はプリントする元のデータを準備するのが非常に難しい事です。
最初は国土地理院で公開されている地図の3Dデータを使っていました。これは簡単に取得できます。しかし、夏の思い出づくり体験教室で銅鏡の型を作る際、銅鏡の元型製作に3Dプリンターを使いましたが、元型のデータは無料のCADソフトを使用しました。ソフトの使い方が非常に難しく物凄く苦労しました。エンジニアの方が難なく使用している動画を見て本当に尊敬しました。
CADソフトが使いこなせないのに今後どうやって使っていくかを考えていると、1つひらめきました。3Dスキャンすればいいのではないかと。3Dスキャナーはどれも高額でしたが、iPhoneにその機能が備わっていることを知りました。iPhone ProシリーズのLIDAR(ライダー)という機能です。光の反射で物体の形状をスキャンできる機能で、それ専用の無料アプリもありました。
そこで、我流ではありますが私が使っている方法をご紹介します。
まずiPhoneで3Dスキャンして対象のデータを無料アプリ(Scaniverse)を使って取得します。
取得したデータをアプリ内で大まかに切り取って、要らないデータを削除します。いらないデータが多いと次の工程が大変になります。
データを出力する際は、「STL」という拡張子のデータで出力します。3Dプリンターで出力する際のデータはこの方がいいみたいです。「.STL」のデータは、まず「Meshmixer」というソフトでゴミ(いらないデータ)を取り除きます。
範囲を指定して不要な物、この場合はカーブミラーの支柱や空中に浮いている消し切れなかったものなどを削除していきます。
その次にWindowsについてくる無料の「3D Builder」を使って、穴が空いたり薄くなったところを調整します。自動でやってくれるので非常に楽です。ただ、たまに変な形になるのでその際は、前の「Meshmixer」で穴を塞いだり工夫します。このデータも「.STL」で出力し、いよいよ3Dプリンターのスライサーソフトで加工します。
上の写真は私が使っている3Dプリンターの会社が作った専用ソフトです。「スライサー」とは、元データをそれこそスライスして3Dプリンターが溶けたプラスチックを積層していくような命令に変換してくれるソフトです。色々な設定に変更できるため非常に便利ですが、設定にはコツがありやってみないとわからないため、ここに書くことが出来ません。まさに体で覚えるです。
かなりザックリと説明しましたが、これだけのことを習得するのに大変時間がかかりました。お試しになる方は3Dプリンターを買う前にこのデータが作れるかどうかを十分検討してください。
今回の参考画像の尾呂志城の石垣は、企画展「熊野の城~山城から歴史を紐解く~」に展示します。他にも3Dプリンターで作成したものが展示されますので、ぜひ楽しみにしてください。