大坂屋長三郎

2024年5月13日

その他

 当センター所蔵の熊野古道伊勢路に関する道中記(ガイドブック)のうち、画像の『順礼道中記』という道中記を発行したのは紀州粉川(現紀の川市)の「大坂屋長三郎」という書店です。こういった道中記を出版するのは江戸・大坂・京都の書店が多いですが、地方である粉川の書店が発行したのは珍しいのではないかと思います。『順礼道中記』は西国巡礼を案内する道中記で、大坂屋長三郎はこのほかにも西国巡礼の道中記や絵図を数多く発行しています。粉川には西国巡礼の第三番札所粉河寺があります。西国巡礼で訪れる人が多かったことから、こういった案内書を出版したのではないかと思われます。

 上の画像は、『順礼道中記』のうち尾鷲のことが書いてあるページです。上下二段に分かれていますが、下の段に熊野古道伊勢路の案内が書いてあります。尾鷲については「おわし 町 川二つ有 大水舟 やき山上り五十丁 峠ニ八鬼山にちりん寺 下り三十八丁」とあります。必要最低限といった感じの案内ですね。

当センターが近年収集した資料にも「大坂屋長三郎」が出版した道中記があります。6月からの特別展示室企画展にて展示する予定ですので、ぜひご覧ください。

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