榎本仲二氏
2024年5月15日
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榎本仲二氏は、熊野古道センター特別展示室で開催している「裏の屋敷資料展」でご紹介している人物です。仲二氏は、御浜町上市木で代々漢方薬を販売していた榎本家に生まれ、生家は「裏の屋敷」と呼ばれていました。慶應義塾大学医学部を卒業し、軍艦出雲の軍医となり世界中を巡りました。その後太平洋戦争では軍艦金剛の軍医長として乗船し多くの兵士の命を救いました。終戦直前はシンガポール病院の医院長を務め、終戦後復員し、故郷である御浜町の裏の屋敷で榎本医院を開業しています。また、御浜町の小中学校で校医を務められ、多くの方がお世話になったようです。
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企画展は4月13日から開催していますが、多くの方にご来場いただいています。そのなかには子供のころに実際に榎本仲二先生に診察を受けた方や、ご近所に住んでいてよく榎本(裏の屋敷)医院に行っていて今回の展示品があったことを覚えている方、「裏の屋敷」という言葉自体が懐かしいとおっしゃる方などの声を聞きました。
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上の写真は裏の屋敷の「屋敷神」の祠です。屋敷が取り壊されるまで小児病の治癒を願う人々がお参りに来たそうです。
現代医学において「疳の虫」という考え方はありません。それは当然榎本先生もご存知だったと思います。それでも屋敷神をそのままにして参拝をやめさせなかったのは、子に対する親の思いをよくご存知だったからだと思います。榎本家は代々漢方薬の販売をしていましたが、そのほとんどが疳病(小児病)の薬でした。そういったことも関係していると思います。
裏の屋敷は現在は取り壊されて敷地には何もありません。しかし、「裏の屋敷」と聞いただけで榎本医院を思い浮かべる人がいるというのは、ひとえに榎本家や榎本仲二氏が地域に貢献してきたからだと思います。
「裏の屋敷資料展」は6月2日(日)まで開催していますので、知られざる地域の偉人の話をご覧になってみてはいかがでしょうか。