照葉樹の森 楯ヶ崎自然観察会

2022年12月26日

イベントレポート

 12月24日(土)熊野市甫母町の楯ヶ崎遊歩道(楯ヶ崎探勝歩道)にて、当センター主催イベント熊野古道自然学校を開催しました。今回の講師は山本和彦先生(三重自然誌の会会員)、地元の方を中心に12名の方にご参加いただきました。当日の朝は風が強く寒さも心配でしたが、出発する頃には少し寒さも和らぎ、遊歩道をゆっくり散策しながらの楽しい観察会になりました。

これから向かう阿古師神社付近

 楯ヶ崎は、吉野熊野国立公園の特別保護区に指定されていて、美しい景観と貴重な自然が残された場所です。柱状節理の大岩壁がよく知られていますが、今回は、約3時間の自然観察会ということで、途中の阿古師神社を過ぎたところで折り返しました。

集合場所にてご挨拶

 照葉樹は、シイ、モチノキ、ツバキなど代表される常緑広葉樹のことで、楯ヶ崎には、高木になるスダジイ、クロガネモチ、タブノキなどが茂り、他にもシマサルナシ(キーウィフルーツの仲間)、ヤマビワ、バクチノキ、リュウビンタイなど、暖地性の植物が多く生育しています。

楯ヶ崎探勝歩道入口

 遊歩道入口です。整備されていてとても快適に歩くことが出来ます。

カゴノキ

 樹皮に特徴のある「カゴノキ」が遊歩道で目立っていました。「鹿子の木」という意味で、樹皮が鹿の子どものまだら模様に似ていることから、名前が付いたと教えていただきました。

ヤマビワの前で説明する山本先生
スダジイの実を発見

 スダジイとツブラジイはよく似ていますが、樹皮や実の形で見分けることが出来るそうです。スダジイの実は細長く、ツブラジイは小さくて丸い形をしています。

リュウビンタイ葉の裏側観察中

 リュウビンタイは亜熱帯性のシダで、湿った林内に生育しています。株元が太い塊状になっていて、名前の由来には、「龍鱗」がなまって「リュウビン」になったという説があるそうです。

阿古師神社付近
二木島湾(阿古師神社からの眺め)

 折返しの阿古師神社に到着。ここからは二木島湾が見渡せます。青くてとてもきれいな海でした。

キイシオギク

 海岸沿いにキノクニシオギク(キイシオギク)が、小さくてかわいい黄色い花を咲かせていました。

 阿古師神社を過ぎたところで集合場所に引き返し、観察会のまとめとアンケート後に解散となりました。寒い中でしたが、参加者の皆さまのご協力に感謝いたします。ありがとうございました!

山本先生

 今回の講師、山本和彦先生。楯ヶ崎に生育する多くの樹木や野草について詳しく教えていただきました。参加者からの質問にもとても丁寧にお答えいただき、ありがとうございました。 

●楯ヶ崎自然観察会で観察した植物
タイキンギク、シマサルナシ、リュウキュウマメガキ、カンコノキ、バリバリノキ、ヤマビワ、トキワガキ、カゴノキ、モロコシソウ、クスノキ、ヤブツバキ、イヌビワ、シロダモ、タイミンタチバナ、ミミズバイ、スダジイ、ツブラジイ、サカキカズラ、リュウビンタイ、ヒサカキ、ハマヒサカキ、イヌマキ、ヒメユズリハ、クロガネモチ、ヤブニッケイ、タブノキ、キイシオギク、イワタイゲキ、アカメガシワ、ホウロクイチゴ など

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