夏の思い出づくり体験教室の銅鏡の話

2023年8月13日

8月11日と12日の2日間にわたって夏の思い出づくり体験教室を開催しました。
多くの皆様にお越しいただきましてありがとうございました。


11日には銅鏡づくり体験を開催しましたが、その時作った銅鏡のモデルについて少しお話ししようと思います。
銅鏡のモデルとなったのは、大紀町錦で出土したとされる珠文鏡(しゅもんきょう)です。

上の写真が実物の写真です。現在の大紀町錦の九十九折叶越(つづらかなご)古墳群三号墳で見つかり、今から約1400年前のものと推定されています。大紀町錦支所の2階に現在も展示されています。一緒に出土した鉄剣や子持ち勾玉、別の古墳で見つかった三角縁神獣鏡や海獣葡萄鏡なども展示されており見ごたえのある資料室です。興味のある方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。見学の際は事前に錦支所に連絡をしてからいきましょう。

珠文鏡は漢字が表す通り「珠(たま)」の「文(もよう)」の「鏡」です。外側の三角形の列は「鋸歯文(きょしもん)」と言いノコギリの刃のようなのでこのように呼ばれます。「珠文」が少なかったり、無かったりした場合は鋸歯文鏡(きょしもんきょう)と呼ばれることもあります。珠文鏡は国内で生産されていたと考えられており、それを考古学では「仿製鏡(ぼうせいきょう)」といいます。

上の写真は今回の体験教室で作った銅鏡です。本物は割れているのでこの写真の方が確認しやすいと思います。
体験用に少し簡略化していますが、大きさは本物とおなしで直径約7㎝にしてあります。
この大きさは外出先で使用する手鏡ほどでコンパクトで小さいですが、古墳時代では貴重品のため身分の高い人の個人用の鏡だと考えられます。

本物の銅鏡に近いものが制作できて、自分の手に入るという経験はなかなかできません。次に機会がありましたらぜひ体験しに熊野古道センターにお越しください。

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