「道」のくずし方

2023年8月11日

企画展の見どころ

 9月2日より開催予定の企画展「伊勢路の石仏と道標」に向けて、熊野古道伊勢路沿いにある石仏・道標を調査しています。道標は拓本もとっています。
 道標には「左くまの道」「右いせ道」など、道案内が記されています。今回注目したいのはこの「道」という字です。

 こちらは当センターの常設展示にある道標です。「左久まの道」と書いてあります。この「道」はくずし字を勉強している人でないと、読めないかと思います。もはや「道」の面影がないほどくずれています。「道」という字はよく使われるので、このようにどんどんくずれていったのです。

羽後峠の道標

 他の道標での「道」を見てみます。こちらは羽後峠にある道標です。「是ゟ(これより)左くまの道」と書いてあります。

本町道標(長島)

続いてこちらは紀北町長島にある道標です。「北 右くまの道」「西 左いせ道」と書いてあります。

 また、こちらは当センター所蔵の江戸時代の道中案内記(ガイドブック)ですが、赤い四角で囲った部分には「やき山ごへじゆんれい道」と書いてあります。この「道」も同じようなくずしです。ちなみに赤い四角の上にも「かうやごへぎやく道」と「道」の字があります。

 道標やガイドブックといった様々な人々が目にするもので、この「道」のくずし字が使われていることがわかります。以上のことから、「道」のくずしは現在の私たちから見ればなかなか読めないですが、当時の人にとってはこれが普通だったといえるでしょう。

 今回の道標の展示で、ぜひ「道」のくずし字を覚えていただければと思います!

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